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結ぶ
「気が付いた?身体は大丈夫?」
「……はい……」
いつもと変わらない優しい声。
それがやけに恥ずかしい。
顔を出すことが出来ないでいたら、がばっと布団が捲れて、間近で覗き込まれた。
「隠れなくてもいいのに。可愛くて
、素敵だったよ。ますます君のことが好きになった。愛してる」
にこっと微笑まれ、ますます顔が赤くなる。
彼の声を聞いているだけで落ち着かなくなってしまい、僕は思わず顔を背けてしまった。
「四季?」
背中を向けてしまった背後から彼の声がする。
こんな態度じゃ駄目だ。
それは分かっているけれど、まともに顔が見られない。
するとそのまますっぽりと包み込まれるように抱き締められた。
指に指を絡められていると、僕の胸はドキドキしながらも温かくなっていく。
やっと彼の奥さんになれたと思うと充足感でいっぱいになる。
「和真さん」
まだ恥ずかしくて彼の顔が見られないものの、思いきって口を開いた。
「あの、ぼ、僕も愛してます。だから、その…すごく嬉しかった……です……」
「四季……」
背後で息を呑んだ音が聞こえてきたのち、絡められている指に静かに力が込められる。
「この指輪に誓うよ。これからも、もっともっときみを幸せにする。絶対に泣かせたりはしない。俺を信じてついてきて欲しい」
肩越しにそっと振り返ると、目を細めて微笑む彼と視線が絡んだ。
彼が好き。この気持ちを一生胸に刻み、彼についていこう。
微笑み返し、ぎゅっと手を握り返すと、彼の唇が静かに唇に触れてきた。
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