今日の特売品のレタスを並べていたら、 「……さん、亡くなったみたいよ｣ ｢あら、そうなの｣ スマホを片手に何人かの買い物客がヒソヒソと話しをしていた。 「可哀想なのは残された子供たちよ。身寄りもないし、今さら親元にも帰れないし、これからどうするのかしら？」 もしかして……。 嫌な予感が脳裏を過った。 園長先生が亡くなった。いや、そんなまさか。危険な状態は脱した。回復に向かっていると副島さんが話しをしていたもの。 ラジオのニュースをそれとなく聞いていたら、 「四～～季～～くん」 副島さんのお父さんに声を掛けられ、心臓が止まるかと思うくらいびっくりした。 「ごめんね、驚かせて。息子から四季くんに急いで伝えて欲しいって頼まれたんだ。もしかして仕事中だった？」 「ちょうど休憩に入るところだったので大丈夫です」 「それなら良かった」 スマホを手にそっと握らせてくれた。 「四季くんに会いに行ったのすぐに息子にばれて大目玉を食らったんだ。だめって言われれば余計に会いたくなるんだよな」 副島さんが困ったように苦笑いしながら髪をくしゃくしゃと掻いた。 メールには園長先生が亡くなったと書いてあった。 嫌な予感は当たってしまった。 「嘘……」 続く一文に思わず声を上げた。