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報われない想い

全く知らない人たちを前に、思わずハンドリムをこぐのを止めた。また何か言われるんじゃないか、不安でそわそわしながら、胸が締め付けられそうになった。 「四季くん大丈夫?」 異変に気付いた副島さんのお父さんがすぐに飛んできてくれた。 「あの、スマホ……」 差し出した手は震えていた。 「ありがとう四季くん。きみを悪く言う人はここにはいない。だから安心して」 肩を軽く撫でられた。 「もしかして副島さんのお嬢さん?」 「あ、あの……」 副島さんのお父さんと同じ格好をした人たちが集まってきた。 「まこの親戚の子なんだ。娘も同然。可愛いくて仕方がないんだ」 「長澤……じゃない。えっと……ごめんなさい」 まだ慣れてないから緊張する。一呼吸おいて言葉を継いだ。 「朝宮……四季です。宜しくお願いします」 ぺこっと頭を下げた。 片付けをしていたひとりの女性がはっとしたように顔を上げ、顔色を変えて駆け寄ってきた。 「長澤って、もしかして、バス事故の?」 気圧され頷くのが精一杯だった。 「私の妹夫婦も事故に巻き込まれたの。唯一生き残った男の子に、おばちゃん寝ちゃだめだよ。頑張って。励ましてもらっていたって人伝に聞いて、いつか会えたらお礼を言わなきゃってずっと思っていたのよ。まさかこんなところで会うなんて……」 声を震わせ泣き出した。 「彼女は、まこ こころの会が発足したときからの仲間なんだ」 副島さんのお父さんが女性にハンカチを手渡した。 「あの副島さん、まこ こころの会の代表が誰かご存知ですか?」 意を決し聞いてみた。

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