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報われない想い
彼はお風呂でなく部屋に直行した。
「和真さん、お風呂に入るんじゃなかったの?」
嫌な予感は的中するためにあるんだと改めて思い知らされた。首にしがみつきながら目で訴えながら顔を振った。
「昨日は昨日だろ?新婚なんだし、本当は毎日でもしたい」
長座布団に下ろされるなり、ぎゅっ、と強く抱き締められ、何度もキスを交わした。
広い胸にしがみつき、されるがままになっていると、横たえられ、僕を見下ろす彼を一心にみつめた。
僕には勿体ないくらい素敵な人。
そんな素敵な人が自分の夫だなんて。いまだ信じられない。まるで夢を見ているようだ。
大好きな彼に見つめられるだけで、胸がどきどきしてくる。
「副島に邪魔される前に、もう一回キスしよう」
うん、小さく頷くと頬がジンジンと熱くなった。
「耳まで真っ赤だ。可愛い」
ニッコリと微笑みと、おでこに、鼻先に、頬っぺに、最後に唇にキスをしてくれた。
そのときーー、
タイミングを見計らったかのようにブルブルと胸の内ポケットが振動した。
「和真さん、電話」
「どうせ副島からだ」
彼が再び唇を重ねてきた。
唇を舌でなぞられ、口の中へと入ってきた。
彼と舌を触れ合わせると、それだけで身体がどうしようもないくらい熱くなってくる。
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