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報われない想い

喉から顎をくすぐるように長い指の腹で撫でられながら、何度も唇を啄まれた。 やがて口内に挿し入ってきた舌を懸命に受けとめ、おずおずと舌を絡めると、その舌を優しく甘噛みされた。 「っは……っ」 痺れるような初めての感覚に、身体の奥がじわりと熱くなる。 そのままとちゅぷっと音を立てて舌を吸われ、大きく身体をくねらせた。 「和真さん、お仕事……」 恥ずかしさで頬がほてる。 「バイトが休みだって聞いて、副島に頼んで有給をもらった。言ってなかったけ?」 そんな大事なこと全然聞いてないよ。顔を横に振った。 「あれ、そうだった?でも、一日中四季の側にいれるんだ。これほど嬉しいことはない。ちなみに、姉さんは妊婦健診で病院だ。副島の父親に頼んでお爺ちゃんたちを連れ出してもらった。一度でいいから芝桜を見たいって話をしていたからちょうど良かった」 だから家の中がやたらと静かなんだ。 「お腹空いたよね。朝ご飯の準備をしてくるね」 起き上がろうとしたら、 「お腹は空いていない」 腕を掴まれぐいと引き戻され、強く抱き締められた。 「姉さんの夢を叶えてあげるのが先だろう」 「和真、さっ……」 言い終わらないうちに彼の唇が重なってきた。

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