243 / 588

報われない想い

カタン、ドアが開く音がして、意識が浮上していった。 目を開けると、遮光カーテンのせいもあって昼なのか夜なのか、よく分からなかった。 照明も布団の脇に置いた丸いランプの淡いものだけだった。 「和真さん……」 「おはよう。といっても夕方だけどね」 薄暗がりの中、近付いてきた彼は布団の脇に腰を下ろし、頬に手を伸ばしてきた。 「無理させてごめん。大丈夫か?」 ひやりとした手が気持ち良かった。 身体にくすぶっている熱が吸い取られていくようだ。 「まだ熱いな」 触れる手を意識して、新たな熱を生み出そうとしている浅ましい自分がいて、恥ずかしかった。 「朝から何も食べていないから、お腹が空いただろう?副島が差し入れを持ってきてくれたから一緒に食べよう」 お尻の下に手が差し入れられ、ふわりと体が宙に浮いた。 「副島の知り合いがナカトミっていう洋食屋を経営していて、そこのビーフシチューとハヤシライスが絶品らしい」 ナカトミはよくテレビのCMで流れているから名前は知ってる。老舗の洋食屋さんだ。お腹がぐぐ~~と鳴った。 「ごめんなさい」 よりによってこのタイミングでお腹が鳴るなんて。顔を真っ赤にして俯いた。

ともだちにシェアしよう!