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報われない想い
車椅子まで運んでもらうのかなと思っていたら、真っ直ぐリビングに向かい、床の上に敷かれた長座布団の上にそっと静かに下ろしてもらった。
丸いテーブルの脇に紙袋が置いてあった。
「お弁当が入っていたんだ。あとは何も入ってないよ。すっかり冷めてしまったから温めてくる」
紙袋をテーブルの下に押し込むと、そそくさと台所に向かった。
あれ?いつもの和真さんじゃない。
もしかして何か隠してる?
気になったから手を伸ばし紙袋を自分の方に寄せ、そぉーと中身を覗き込んだ。
小さな箱がひとつ、長方形の箱がふたつ入っていた。
コンドーム?
アナル……?
あと、なんだろう、ローマ字が読めない。
初めて見る横文字に首を傾げていたら、
「四季!」
彼が血相を変えて戻ってきた。
「お節介やきがやたらと多いから困るんだよな」
「和真さん?」
きょとんとして見上げると、
「もしかしてコンドームが何か、知らないのか?」
うん、小さく頷くと、
「……」
絶句し頭を抱えてしまった。
まずいこと、聞いちゃったかな。
「コンドームは避妊具だ。あと、そっちは、オトナのオモチャだ。使い方は……いちいち言わなくても分かるだろう?」
顔を真っ赤にし、紙袋をがさっと持ってかれた。
「副島からの結婚祝いだ。あれほど四季の身体の負担を考えて、控えめにしろって言っておいて、副島が何を考えているのかさっぱり分からない」
彼と何気に目が合った。
「そんなに見つめられたら、これ、使いたくなるだろ?」
「そういうつもりで見てた訳じゃあ……」
彼がテーブルの上にあったリモコンを片手で操作すると、リビングの明かりが落ちた。
「姉さんたち、もう少しで帰ってくる。それまでどのくらい気持ちいいか、試してみよう」
ぞくっとするほどの色香を纏い、覆い被さってくると、長座布団の上に横たえさせられた。
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