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一生消えない心の傷
「どうした?」
運転手席に乗り込むなり怪訝そうな声で聞かれた。
「さっきのお爺ちゃんたち、すごく訛っていたの」
「あぁ、なるほどな。俺もパートのおばちゃん達と喋っているとたまに何を言ってるのか分からなくなる時がある」
何かに気付いたのか、ちらっとバックミラーに目を向けるたもくん。険しい表情を一瞬だけ浮かべた。
「どうしたの?」
「いや、何でもない」
首を振ると紙袋を渡された。なかを覗くとフライドポテトとサンドイッチとペットボトルが入っていた。
「ポテトたまに食べたくなるんだ。四季もだろう?」
「え?う、うん」
なるべく刺激しないように笑顔で頷くと、たもくんも嬉しそうににこっと笑ってくれた。
車が再び走り出して、高速道路の本線に合流したとき、何気に見たサイドミラーに白いワンボックスカーが写っていた。
不審なワンボックスに注意。確かにそう書いてあった。
勘の鋭いたもくんのことだから尾行されていることに気付いていると思う。
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