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一生消えない心の傷
やがてスマートインターの案内看板が左側に見えてきた。
「たもくん、お願いだからそこのスマートインターで下りて。副島さんと吉村さんが待っているから」
必死で懇願した。
「手遅れになる前に病院に行こう」
「……」
たもくんはただ前を真っ直ぐに見詰めていた。あと二キロの案内看板の脇を通過しても減速するどころかアクセルを強く踏み込み加速した。
「たもくん‼」
何としてでも次のスマートインターで下りないと。もしこの状況で事故でも起こしたら他の車も巻き込み大惨事になるのは必至。思わず腕を強く掴んだ。
「ご、ごめんなさい」
じろっと横目で見下ろされ、慌てて手を引っ込めた。
「なんで日本には外国みたく証人を保護する法律がないんだろう」
「たもくん?」
「きよの取り巻きは最低でも3人。飲食店のオーナーの若い男、現役の刑事、2年前まで刑事だった男だ。四季、俺が何を言いたいか分かるだろう」
「もしかしてその元刑事って、初瀬川さんのお兄さん?」
「はつせ…がわ?名字までは知らない。きよの為なら殺人も放火も何でもする。刑事がいるんだ、証拠を消す事も、無実の人間に罪を被せるのも簡単だろうよ」
たもくんの言葉にはっとした。何もしていないのにどうして僕ばかりが犯人扱いされるのかずっと疑問に持っていた。
その答えがようやく見つかった。
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