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一生消えない心の傷
浜辺を一掃して砂に広がる波の音、その泡が立てるシューッという音が心地よく耳を撫でる。
たもくんは地平線に沈む太陽を一言も発せず黙って見つめていた。
「メモリーカード復活!俺やっぱり天才かも!」
車の中でパソコンを操作していた吉村さんが声を上げた。
「岩水、市内にあるいずみ厚生病院の外科医の佐瀬医師と話しがついた。しばらくそこで匿ってもらえる」
斎藤さんがスマホを耳にあてながら戻ってきた。
「和真、マスコミにこの情報を流すぞ」
「あぁ、頼む」
トイレ休憩で立ち寄ったサービスエリアで動けなくなったたもくん。あの不審な白いワンボックスカーが広い駐車場の中をうろつく中、お爺ちゃんと副島さんのお父さん、そして彼と斎藤さんが追い付いた。
彼の姿を見るなり無理してまで車を走らせようとしたたもくん。
「高速道路での事故で両親を失った四季に、二度も哀しい想いをさせないでくれ。岩水、頼む」
彼が危険を省みず車の前に立ち塞がり体を張って車を止めた。
どうしても海に行きたいと言い出して聞かないたもくんに、彼が提案したのはこのまま海に向かい、斎藤さんの又従兄弟が勤務する病院に身を隠すということだった。
サービスエリアを出発する頃には雨もすっかり上がり、青空が見えてきた。
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