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一生消えない心の傷
初瀬川さんにお兄さんが生きているかも知れないということと、きよちゃんの正体を正直にありのままに伝えた。
長谷川さんの名字が本当は初瀬川だと知りたもくんが驚いていた。首筋に5円玉くらいの痣があるなら、兄で間違いない。初瀬川さんがそうはっきりと断言した。
初瀬川さんもきよちゃんの本性に薄々気づいていたみたいで、やっぱりそうだったんだ。もしかしたら、病院で兄と擦れ違っていたのかもね。そのとき気付いていれば。かなり悔しがっていた。
「そろそろ行くぞ」
彼がたもくんに声を掛けて手を差し出した。
「朝宮さん、なんで俺を助けてくれるんだ。あなたに失礼な態度ばかり取っていたのに」
「理由はとくにない。しいて言うなら、四季のお兄ちゃんだからかな?恋敵でもあるけどな」
「恋敵か、そう言ってもらって嬉しいよ」
「最初に言っておくが、何があっても四季を君に渡す気はない」
「分かってるよ」
たもくんが彼の手を取り、ゆっくりと立ち上がった。
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