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一生消えない心の傷

「きよは一体誰を……何を愛していたんだろう。俺なんかきよにとって塵みたいな存在に過ぎなかったんだろうな。取り巻きに比べると、金もないし社会的地位もない。ないない尽くしの俺より初瀬川や久保木、あともう一人の男の方がきよは良かったのかも知れない」 ぼそっと呟くと寂しそうに天井を見上げた。 「そんなことないよ」 ハンドリムをこいでたもくんの側に駆けよった。 「たもくんの良さはこの僕が一番分かってる。小さい子たちの面倒を誰よりも一番みてたこと、宿題を教えたり、喧嘩がはじまると真っ先に飛んでいって仲裁したり、強くて優しくて格好よくて一番頼れるお兄ちゃんだったこと、僕知ってるよ」 「ありがとう。でも、四季、旦那さんに焼きもちを妬かれるから、旦那さんがいる前で俺も含め他の男のことを褒めない方がいいぞ。新婚なんだし」 「え?」 どきっとして彼を見上げると、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる彼と目があった。 「 ……ごめんなさい」 蚊の鳴くような声で返すのが精一杯だった。

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