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複雑に絡み合う想い

「橋本さんの母親が亡くなった火事。母親の不注意による失火ということで片付けられている。不審に思った母親の元夫や友人らがある大学の教授に解剖を依頼した。普通は一体10万くらいかかるが、献体という形で母親と内縁の夫の検死を行った。その結果、体内からは睡眠薬が検出され、母親は火事が起きる前にすでに亡くなっていたことが判明した。火災発生場所も二人がいた二階じゃなく、一階の階段付近。元夫は弁護士に依頼し警察に鑑定結果を提出し捜査のやり直しをして欲しいと再三に渡り頼んだが捜査は終了したとして門前払いだ。だから警察に対し不服申し立てを行った。元夫が依頼した弁護士は俺たちの先輩だ」 当時の記録が残されていた。 「故人を供養するにも弁護士に依頼するにも金がかかる。だから脅して金を要求した」 「闇に葬ったはずの事件が表沙汰になると、橋本さんとの関係がバレて、地位も名誉も信用も何もかもすべて失うことになる。だから円谷園長は渋々、やむを得ず要求を飲むしかなかった」 彼が副島さんに電話を掛けて判明した事実を伝えると、雄士さんとこれからきよちゃんが昔住んでいた場所へ行ってみる。そう答えが返ってきた。

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