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複雑に絡み合う想い
副島さんや雄士さんたちが必死できよちゃんや初瀬川さんのお兄さんたちを捜したけれど行方は全く掴めなかった。
それから一週間後、たもくんは僕を誘拐した容疑で警察から取調べを受け、共犯として西本たちも事情を聞かれたみたいだった。
「四季く~~ん!あれ、いないのかな?和真、居留守使っちゃ駄目よ」
お姉さんが身を寄せているのは副島さんのお父さんの友人がオーナーをしているというシェアハウスだ。
「あの姉さん、四季が心配なのは分かるよ。分かるけど、それと部屋が隣だからってちょっちゅう来られても困るんだけど」
「だってひとりでいるの寂しいんだよ。愚痴を聞いてくれる相手もいないし。それに自分で作るご飯より四季くんが作ってくれるご飯の方が美味しいし」
昨日今日と顔色がだいぶよくなった結お姉さん。悪阻はまだ続いているみたいだけど、前よりは酷くなくなったよ。きっと四季くんが作ってくれる具だくさんのスープのお陰かも。結お姉さんの笑顔を久し振りに見ることが出来て僕までなんだか嬉しくなった。
お巡りさんとマスコミの人たちがうろうろしていて、お爺ちゃんたちの家に帰りたくても帰れなくて、アルバイトに行きたくても行けなくなってしまった。いつ襲われるかも分からないから身を守るため僕たちも一時的に身を隠すことになった。それがどういう訳か結お姉さんが身を寄せるシェアハウスに。しかも隣の部屋というおまけ付きだ。
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