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複雑に絡み合う想い
スーパーに入ろうとしたら、副島さんに声を掛けられびっくりして目を丸くした。
「幽霊でも見るような顔で見るな。足はちゃんと付いてる。知り合いか?」
「子どもたちが車椅子を押すのを手伝ってくれたんです」
「そうか。優しい人に会えて良かったな」
「副島さんはどうしてここに?」
「答えないと駄目か?」
「いえそういう訳じゃ」
「買い物手伝うよ。何を買うんだ」
ポケットからメモ紙を取り出し副島さんに見せた。
「結お姉さんに頼まれたものもあって」
「そうか」
レジかごを持つと、空いている手で車椅子を押してくれた。
誰が黒幕か分からないんだ。今まで通り辛くあたるから覚悟しておけ。
外でこんな風に一緒に歩くのが初めてで、また何か言われるんじゃないかとドキドキしていたら、
「黒幕を暴くためとはいえ、今まで辛くあたって悪かった。口調もきつくて不愉快な想いをさせて悪かった」
まさか謝られるとは思ってもみなかったから驚いた。
「副島さんが本当は優しい人だって分かるから。だから、気にしていないです」
笑顔で言葉を返すと、
「ありがとう」
にっこりと微笑んでくれた。
「初めて笑ってくれましたね」
「笑ってない」
決まり悪そうにわざと咳払いをされた。
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