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複雑に絡み合う想い
「どうしたらきよちゃんを助けてあげられるのかなって、そればかり考えてるんだ。おかしいでしょう。あんだけ酷いことを言われて、命だって狙われたのに」
ペットボトルを両手でぎゅっと握りしめた。
「だってきよちゃんがそうなってしまったのも園長先生や回りにいた大人たちが原因かも知れないし」
「和真はなんて?」
「トラウマに向き合い克服するには、今でもきよちゃんを愛してるたもくんの支えが必要だって。自分が過去に被害を受けたことを明かすことは勇気がいる。一人では無理でも、ふたりならどんなに高い壁でも乗り越えることが出来るって。だって僕だってたもくんときよちゃんには幸せになってもらいたい。時間を巻き戻すことが出来るなら戻してあげたい」
「四季といい和真といい、夫婦揃ってお節介やきで、まさに似た者同士夫婦だな」
副島さんの表情がふっと緩んだ。
「どうした?顔が真っ赤だぞ」
「なんでもないです」
夫婦、夫婦って連呼しないで欲しいな。だってそう呼ばれるのまだ慣れなくて。恥ずかしいんだもの。
「副島さんもいらっしゃってたんですね」
お爺ちゃんが迎えに来てくれた。
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