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信じていた人の裏側に隠されていた、もうひとつの顔

しーと彼が人差し指を唇の前に立てると、天井を指差した。 「2階からカタカタと物音が聞こえないか?」 小声で囁きかけられて。 耳を澄ませるも何も聞こえなかった。首を横に振ると、 「気のせいかな?でもな……」 そこで言葉を止めると、 「帰ってきた時ぎしぎしって階段から音が聞こえたんだ。風のせいかなって思ったけど人の気配を感じるんだよね」 和真さんが胸ポケットからスマホを取り出すと、何かあったら櫂さんとすぐに逃げられるよう準備をしておいた方がいいと、結お姉さんにメールを送信した。 建物が古いから2階は使われていない。立ち入り禁止の看板はないけど、黄色いロープが階段に張り巡らされてある。 「このまま気付かないフリして四季といちゃいちゃしようと思ったけど、四季に恥ずかしい思いさせたくないし。台所に戻ろう」 体を起こすと、お姫様抱っこしてもらい台所に置きっぱなしになっていた車椅子の上に静かにおろしてもらった。

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