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信じていた人の裏側に隠されていた、もうひとつの顔

目が合うなり顔を逸らし何事もなかったように平静を装いその場から立ち去ろうとした。その不審な行動にいち早く気付いた警察官があとを追い掛け、行く手を阻むように立ち塞がった。 「四季は危ないからここで待つんだ」 ハンドリウムをこいでまなみ先生のところに向かおうとしたら彼に止められた。 そのすぐあとだった。耳をつんざくような、長く尾をひいた悲鳴が上がったのは。 見るとさっきまでいなかった男がまなみ先生の隣に立っていた。 ふたりの足元にはさっきの警察官が顔を両手で覆いながらうずくまっていた。 「初瀬川だ!捕まえろ!」 警察官がありったけの声を張り上げると、男はまなみ先生の手を握り脱兎の如く逃げ出した。早く救急車を呼べ!ペットボトル触んな!怒号が飛び交い騒然となった。 「和真さん、やっぱりまなみ先生だった。どうか僕の勘違いでありますように、別人でありますようにって心の底から願ったけど……」 「俺も四季と同じだ」 後ろに回ると車椅子を静かに押してくれた。 「副島が迎えに来てくれる。今夜は副島の家に泊まらせてもらおう」

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