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信じていたひとの裏側に隠されていた、もうひとの顔
「四季くんお帰り。男やもめふたり暮らしだから、散らかってるけど。あ、でもね、一応掃除はしたよ。掃除機もかけたし。いやぁ~もう、緊張する」
額の汗をハンカチで拭う副島さんのお父さん。
「急に押し掛けてごめんなさい。お世話になります」
頭を下げると、
「だめ、だめ、だめ。息子に怒られるから頭を上げて」
額からさらに汗がふきだした。
ファミリーレストランで彼と櫂さんと無事に合流することが出来た。
副島さんは雄士さんがこれから来るとかで、そのままそこに残った。
副島さんのお父さんがここを使っていいよとリビングの隣の和室に案内してくれた。彼にお姫様抱っこしてもらい、敷かれてある布団の上にそっと静かに下ろしてもらった。
「和真さん」
「ん?どうした?」
手紙になんて書いてあったか気になって仕方がなかったけど、
「ううん、何でもない」
疲れている彼に心配事をさせたくないと、首を横に振った。
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