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コオお兄ちゃん
「和真、いちゃついている場合じゃないぞ」
副島さんが息を切らしながら和室に駆け込んできたから慌てて飛び起きた。
「副島、ノックくらいしろよ」
「緊急事態だ。久保木が警察署から脱走した」
「は?悪いがもう一回言ってくれ」
「だから久保木がいなくなったんだ。夜7時に取り調べを終え別棟にある留置所に移動中、気持ちが悪い。吐き気がすると言ってトイレに駆け込んだまま、忽然と姿を消した。警察が記者会見を開き謝罪していた」
副島さんがスマホを操作し、会見の模様を見せてくれた。
「内部の人間が脱走を手助けした可能性もある」
「あの……」
ふたりの話しに水を差しちゃいけないとは思いつつ、恐る恐る手を上げた。
「液体をかけられたあの警察官は?」
「手に軽い火傷は負ったが命に別状はない」
「良かった」
ほっとし、胸を撫で下ろした。
「あくまで、俺の予想だがな」
副島さんが僕と彼の間に腰を下ろしてきた。
「なんでそこに座る?」
「四季は俺の妹だ。隣に座って悪いのか?四季は和真だけのものじゃないぞ」
「は?四季は俺の妻だぞ」
彼と副島さんがなにやら口喧嘩をはじめた。
なんだかんだいいながら、ふたりは相変わらず仲がいい。
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