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深まる謎
警察に全く興味がないからよく分からないけど、県警のナンバー2にあたる、刑事部捜査第一課の管理官の佐瀬さんという男性が訪ねてきたのはそれから1時間後のことだった。
「私も城同様一宮さんに刑事のイロハの手ほどきを受けた。2年前のことといい、今回のことといい、朝宮さんご夫婦には大変ご迷惑をお掛けし誠に申し訳ありませんでした。県警を代表し謝罪いたします」
佐瀬さんが椅子からすっと立ち上がると、深々と頭を下げた。
「初瀬川、久保木の逃走を手助けしたと自供した渡辺、佐川両巡査長については、懲罰委員会でしかるべき処分を下します」
彼とコオお兄ちゃんと征之おじちゃんが、顔を上げた佐瀬さんに冷ややかな視線を送った。
「2年前も、今回も、ようは警察がぐるになって、何の罪もない四季くんに罪を着せて、事件を終わらせようとした。マスコミにわざわざ圧力までかけて。そういうことだよね?」
征之おじちゃんが足元に置いてあった紙袋から分厚い紙の束を取り出すと、それを佐瀬さんに突き付けた。
「これがなんだか分かりますか?2年前、まこ こころの会が中心になって署名を集めた、当時のK警察署署長の辞任と、違法な取調べを行った刑事らの氏名を速やかに公表し、厳格な処分を求めた請願書ですよ。私と上遠野さんが公安委員会に提出したはずなのに、なぜかゴミ箱に捨てられていた。これはどういうことですか?」
佐瀬さんの顔色ががらりと変わり、城さんを睨み付けた。
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