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深まる謎
「当時16歳だった 少年Aの個人情報をネットに晒し、面白おかしく騒ぎ立てたのはお前らマスコミの方だろうが。私たちは何も悪くない」
権力を傘で着た高圧的な態度で開き直るとふんずりかえった。
「ネットに四季の個人情報を流したのは、あなた方警察でしょう」
コオお兄ちゃんが目を吊り上げ佐瀬さんに詰め寄った。
「証拠はあるのか?」
馬鹿にするように鼻でせせら笑った。
「吉村という男をご存知ですか?」
「は?吉村?誰だ。城、分かるか?」
聞き返された城さんが含み笑いをした。
「知ってるならさっさと答えんか」
思わせ振りな城さんの態度に佐瀬さんが苛立ちはじめた。
「元サイバー捜査官だった男だ。退職したあと、大学に入り直し血の滲むような努力の末、弁護士になった男だ。佐瀬さん、あなたが陣頭指揮を取っていたフィッシング詐欺事件で同じ捜査チームに所属していた男です。本当に覚えていないんですか?」
佐瀬さんが不思議そうに首を傾げ、頭を巡らせた。
「まこ こころ会の代表の代理人として公正委員会に苦情を申し立てた弁護士だよ。そのとき会っているはずだ。吉村はお前のことよく覚えていたぞ」
城さんの言葉にどきりとする佐瀬さん。吉村さんのことを思い出したのかみるみるうちに顔色が変わった。
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