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深まる謎

「くだらん。時間の無駄だ。私は忙しいんだ」 佐瀬さんが椅子から立ち上がった。 「吉村の事件も、橋本の事件も起こったのは9年前だ。いずれの事件にも佐瀬、お前が関わっていた。これは偶然か?」 城さんが佐瀬さんの行く手を塞ぐようにすっと前に出ると、フンッと苛立ちを含んだため息をつきながら、城さんを軽蔑の目で見下ろした。 「だからなんだ。どけ」 城さんはどんなに凄まれても一歩も引かなかった。 「2年前に少年Aが素直に罪を認めていれば、初瀬川も久保木も刑事でいられたんだ。高橋も円谷も死なずに済んだ。将来有望な若い刑事と、たかが16歳の役立たずのガキ。両性なんて気色悪い。ゴミも同然だ。天秤にかけたらどっちが大事か、誰だって分かるだろう。城、お前もな」 「佐瀬さん、あなたという人は、どこまで四季を侮辱したら……」 「止せ、和真。公務執行妨害の現行犯で逮捕されるぞ。絶対に手をあげるなよ」 「和真くん、耐えるんだ。相手の思う壺だ」 飛び掛かろうとした彼を、コオお兄ちゃんと征之おじちゃんがふたり掛かりで必死で止めた。

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