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深まる謎

「ええとね、武田課長ね僕に一回だけ話しをしてくれたんだ」 「まずは落ち着こうか?」 瞳を見つめ彼があやすように髪を優しく撫でてくれた。 「歓迎会のとき酔っ払った武田課長がなんで離婚なんてしたんだろう、俺は妻と息子を守れなかった最低の父親なんだそんなことを言って泣いていたの。そのときはなんのことか分からなかったけど、石沢さんのことだったんだ」 「そうだとしたら、佐瀬の命が危ない。石垣は自ら捨て駒になった。病院の方が警備が甘いからな」 城さんが佐瀬さんが搬送された病院の警備を強化するように部下に命じると、 「は?いない?周辺をすぐ探せ」 狼狽えたような声を上げた。 「佐瀬がいなくなった。こうしちゃいられない」 がたっと立ち上がった。 「城さん、あなたも落ち着いてください。急いで行って、もし交通事故でも起こしたら元の木阿弥ですよ」 櫂さんがコーヒーを運んできてくれた。

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