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深まる謎

「石垣さんに佐瀬さんを殺す様に仕向けたのは城さん、あなたですよね?」 櫂さんが硬い表情で切り出すと、 「そんな訳ないだろう」 城さんがくすっと笑いながらコーヒーを一口、口に運んだ。 「石垣さんにとって佐瀬さんはそれこそ雲の上の存在です。さっきの騒動の最中に斎藤さんに頼みひそかに調べてもらいました。和真くんのお兄さんかもしれない遺体が見つかったというのは、佐瀬さんを呼び出す為の嘘だったのでしょう。違いますか?」 櫂さんの容赦ない追及に観念したのか、 「よく分かったな」 肩を落とし項垂れた。 「佐瀬さんをここに呼び出した時点で分かりました。県警のナンバー2がわざわざ謝罪に来るなんて有り得ませんからね。よほどやましいことがない限りはK警察の署長を呼び出すのが普通ですから」 「櫂くん、見ないうちに立派になったな」 「四季くんの……いえ、妹のお陰です」 「妹……?一宮夫婦も新しく家族に迎えた孫が可愛くて仕方がないと言っていた。きみもか」 「はい。和真くん以外は全員妹離れが出来ないシスコンです。四季くんは私たちにとってかけがえのない大切な家族です。宝物です」 恥ずかしがることなく堂々と答えた。 櫂さんと何気に目が合うと笑顔で手を振られ、逆に僕が恥ずかしくなってしまった。 「そうか。四季くんは果報者だな」 城さんが自嘲した。

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