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命をかけても守りたいもの
「武田さん、丸和電機についさっき警察が来たそうだ」
阿部さんの言葉に、一度目を閉じゆっくりと深呼吸をすると、静かに口を開いた。
「四季、ごめんな。折角招待してもらったのに結婚式と披露宴に参列することが出来なくなった。いつかこの日が来ると覚悟はしていたんだ。披露宴のスピーチ、寝ないで考えて、何度も何度も練習したんだ。四季に恥をかかせる訳にはいかないからな。初瀬川や品管の若いのに何度笑われたことか。四季の晴れ姿を一目でいいから見たかった。新婦側の親族代表として披露宴のスピーチがしたかった」
「武田課長は何も悪くない」
「四季の言う通りです」
「黒田さんと初瀬川から結婚式の打合せがしたいと聞いたとき、ようやく真実に辿り着いたんだと悟ったよ。岩沢は実の息子だ。俺が不甲斐ないばかりに妻に三くだり半を突き付けられたんだ。四季を見てると息子を思い出すんだ。助けてやることが出来なかったから、だから、何がなんでも佐瀬や橋本や円谷からきみを守ろうと心に決めたんだ。この命に代えても。朝宮さん、四季は優しくて素直で真っ直ぐで真面目な子なんです。だから、四季を宜しくお願いします。どうか幸せにしてあげてください」
武田課長が深々と頭を下げた。
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