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命に変えても守りたいもの
「武田さん、私にあなたの弁護を是非ともやらせて欲しい」
阿部さんが黒いカバンから白い封筒を取り出すと武田課長に渡した。これは?首を傾げなながら中から茶色く色褪せた便箋を取り出すと目を通した。
「ごめんな裕人 裕人」
片手で顔を覆うと泣き出した。
「9年前、私は岩沢さんの国選弁護人でした。彼が犯人ではないのは明白だった。無実を証明するため証拠を必死で集めていた。その矢先、岩沢さんは……」
阿部さんは悔しさに拳を震わせ、唇を噛み締めた。
「石垣さんを助けられるのは武田さん、あなただけよ」
「息子さんの無念を晴らす絶好の機会だよ」
黒田さんと初瀬川さんに励まされ、武田課長は阿部さんとともにK警察署に出頭することを決めた。
櫂さんが淹れたてのコーヒーを運んできてくれた。
「佐瀬さん、見付かったみたいですよ。さっき速報が流れました」
その言葉にはっとし、スマホを取り出す武田課長。
「なんでだ西本」
うわ言のように呟くとギュッと握り締めた。
西本さんって、高橋先生の叔父さんだ。
まさかと思い彼の袖を引っ張ると、ちょうど彼もスマホを見て愕然となっていた。
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