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命をかけても守りたいもの
「和真くん、電話が鳴ってるよ」
櫂さんに言われはっとして我に返った。
「皆さん、日替わりワンプレートをどうぞ。まずは腹ごしらえです。それからでも遅くないですよ」
「ありがとうございます」
初瀬川さんがわぁ~~タコライス美味しそう!と歓声をあげた。
「黒田さん、息子さんの分、お土産として準備してありますよ」
「ありがとう櫂さん」
「いいえ」
櫂さんがちらっと武田課長を心配そうにみつめた。
「死んだ人間がバカだったんだ。貴様ら下等生物が俺に意見をするのかと、馬鹿にされた。だからといって、殺してはいない。佐瀬は自ら命を絶った。おそらく警察は信じてはくれないだろうがな」
力なく呟くと深くため息をついた。
「しらさぎが丘養護施設が火事って、どういうことだ?」
彼が驚いたような声をあげた。
園長先生が亡くなったあと、施設にいた子どもたちは別の施設に全員移され、施設は閉鎖され誰もいないはず。寒気が駆け抜け、背筋がぶるっと戦慄いた。
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