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命をかけても守りたいもの

「和真、電話じゃないのか?」 「電話?」 こんな時間にか?訝しげに眉を寄せながら、もう一方の手を伸ばしスマホを取ると画面を覗き込んだ。 「お婆ちゃんからだ」 お爺ちゃんに何かあったのかな? 嫌な予感がしてならなかった。 『遅い時間にごめんなさいね。お爺ちゃんね、信号待ちしていたときに後ろから追突されたのよ。そのときは痛みはなかったんだけど、夜になって体調が急に悪くなってね救急車で病院に運ばれたのよ。あ、でもたいしたことはないわ。ムチ打ち程度だから、明日には退院出来ると思うから心配しなくても大丈夫だから』 入院の際必要な身元保証人の書類に彼の署名が必要なのと、交通事故に詳しい弁護士を斎藤さんに紹介してもらいたい。そんな内容の電話だった。 『交通事故相談センターに連絡して弁護士を紹介してもらうことになったんだけど、お爺ちゃんが胡散臭いって言い出して、斎藤さんなら交通事故に詳しい弁護士を知ってるかなって思って、それで電話をしたの』 斎藤さんといったらコオお兄ちゃんだ。

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