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命をかけても守りたいもの

「四季くん……」 そして朝8時過ぎ。病院に着くと、お婆ちゃんは驚いた顔を見せながらも僕と彼が訪れたことを喜んでくれた 。 入院用の個室。お爺ちゃんは、何かの管を腕に付けられた格好で眠っていた。 「ぶつかってきた車、まなみさんが乗っていた車かも知れないってお爺ちゃんが。一度しか見たことないから断言は出来ないんだけど、車種とナンバーが同じだったみたいよ。薄暗くて誰が運転していたかまでは分からなかったみたいだけど」 お婆ちゃんが心配そうにお爺ちゃんの寝顔をみつめた。 「まなみ先生の車を盗んで犯行に及んだ。俺はそう思う」 「お爺ちゃんもお婆ちゃんもそうじゃないかなって。だからね四季くん、気をしっかり持つのよ」 「はい、ありがとうございます」大きく頷いた。 その直後ーー、 「おはようございます」鞄を大事そうに抱えた斎藤さんが姿を現した。 「副島に和真が用があるから、至急N総合病院へ行ってくれって頼まれたんだけど、もしかしてお呼びじゃなかった?あれ?一宮さん?え?どういうこと?」 ベットに横たわるお爺ちゃんに気付き慌てて駆け寄った。 「昨日の夕方、信号待ちをしていたら後ろから追突されて……」 「マジか」 「斎藤、もしかして交通事故にも詳しいのか?」 「あぁ、任せろ」 力強い言葉に彼とお婆ちゃんが良かった。安堵のため息をつき、胸を撫で下ろした。

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