370 / 588

命をかけても守りたいもの

「マネキン、ですか?」 驚愕の事実を聞かされ彼も斎藤さんも驚いていた。 「ただし悪質な悪戯という訳でもない。マネキンが着ていた服は円谷まなみと初瀬川本人のものだ。付着していた血痕もふたりのものだった」 「じゃあ、ふたりはどこに?」 「所轄が総力を挙げて探しているが手掛かりすら見付かっていない」 城さんがスーツの上着のポケットからUSBメモリーを取り出した。 「マネキンの近くの水溜りに落ちていた。データーが破損していてどうしても読み取ることが出来なかった。吉村なら赤子の手をひねるくらい簡単に復元する事が出来るんじゃないかと思ってな」 斎藤さんに渡した。 「捜査協力しろと?」 じろりと睨み付けた。 「そう怖い顔をするな」 城さんが笑いながら、今度は桐の小さな箱とくしゃくしゃになったメモ紙を取り出した。 「円谷まなみの服のポケットに入っていた」 そう言いながら彼に渡した。 桐の小さな箱を開けると、白い布に大切に包まれた臍の緒が入っていた。メモ紙には細かい字でびっしりと驚くべきことが書かれてあった。

ともだちにシェアしよう!