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命をかけても守りたいもの
「そんなに驚くことでもないでしょう」
一通り目を通したお婆ちゃんが彼にメモ紙を返した。
「避妊具を付けずに続けていれば妊娠する可能性は十分にあるわ。橋本さんが避妊具を付けてくれてと頼んでも円谷さんが拒否したかも知れないけどね。3年前は中絶を強要された。でも、2年前はどうしても産みたかったのでしょう。でも、お腹の中の赤ちゃんは予定より3ヶ月も早く産まれ産声をあげることなく亡くなってしまった。いま、橋本さんのお腹には新しい命が宿っているみたいね」
「たもくんとの赤ちゃん?」
お婆ちゃんに聞いたら、たもくんに妊娠したことを隠しているなら、その可能性は低いかも、そんな答えが返ってきた。
「四季くんにまだ言ってなかったけど、お婆ちゃんね、定年で退職するまでこの病院で長いこと看護師をしていたのよ」
「え?そうなんですか」
「外来で、パートだけどね」
お婆ちゃんが気恥ずかしそうににこっと笑った。
「あぁ、そうだ。県内の産婦人科すべてだ。しらみつぶしに探せ。隣県の警察には俺から協力を依頼する」
城さんが部下に電話を掛け指示した。
「和真さん、僕はどうしたらいい?どうしたらきよちゃんを助けられる?」
すがるように袖にしがみついた。
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