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後悔

その時、曇天の空からぽつぽつと雨が降りはじめた。 「さっきまであんなに晴れていたのに……ん?」 窓を何気に見上げた先生が何かに気付いた。 「先生?」 「最近ね、不審な男がうろうろしているんだよね」 それまでの穏やかな表情が一変。険しい表情になった。受付の女性に警察をすぐ呼ぶように頼むと、彼を呼んでくれた。 「実際、空き巣にも入られたんだ。警報が鳴って2階のスタッフが駆け付けたら、カルテを保管してある倉庫が荒らされていたんだ。和真くん、耳真っ赤だよ。大丈夫?」 「痛くて死ぬかと思いました。すこしくらい手加減してくれればいいのに」 耳を手で押さえながら彼が答えると「ごめんね」苦笑いを浮かべながら謝った。 「和真くんが結婚したって聞いて驚いて、相手が一回り年下と聞いて二度驚いて、両性の子だと聞いてそれは別に驚かなかったんだけど、足が不自由で車椅子に乗っていると聞いて、南なりに心配して、色々考えたんだと思うよ」 「それは分かります。分かるんですが……イタタタ」 苦し気に眉を寄せると顔を歪ませ、その場にうずくまった。

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