383 / 588
後悔
「善は急げだ。ウェディングドレスを見に行こう」
「え?これから?」
「うん。そうだよ」
「だってそういうのって予約が必要なんじゃあ」
「メールしておいたから大丈夫」
いつの間にメールしたんだろう。
全然気付かなかった。
善は急げとは言ったものの、急ぐ様子は全くなくて、1時間近く喫茶店に滞在した。
そしてようやく彼が向かったのはショッピングセンターだった。
「顔、赤いよ?」
「だって」
たもくんと会う前、この駐車場で彼と過ごした夜のことを思い出し、身体がみるみるうちに熱くなっていった。
「四季は俺のだ。岩水にそれを分からせたかったんだ。だからわざと痕を残した」
助手席のドアが開いて、彼が抱っこしてくれて、車椅子に座らせてくれた。その直後、頤をスイと持ち上げられてチュッと軽く口付けをされた。
「か、かずま、さん」
動揺し声が裏返ってしまった。
「場所をわきまえないといけないのはわかるんだけどね。四季があんまりにも可愛いからキスがしたくなったんだ」
悪戯っぽい笑みを浮かべると、何事もなかったように建物に向かって車椅子を押してくれた。
ともだちにシェアしよう!