386 / 588

後悔

ブライダルサロンをあとにし、彼と一緒にエレベーターで一階に下りた時だった。彼が急に立ち止まった。 「和真さんどうしたの?」 首だけ後ろに捻り見上げると、電子掲示板を目を見開いて驚いたように見つめていた。 何事かと思いながら、前を向き、僕も電子掲示板を見上げた。 「……嘘……そんな……」 愕然とし呆然自失となった。 血の繋がった伯母だって、昔、何があったのか、なんで奏心さんが亡くなったのか、真実を知りたがっているたもくんに会ってちゃんと話しをして欲しかったのに。 「まなみ先生、なんで」 胸にふいに波のような哀しみが押し寄せてきた。 「四季」 肩に温かな彼の手が触れてきた。 「和真さん」 その手に自分の手を重ね、すがるように顔を寄せた。 まなみ先生は義之さんと弁護士さんに付き添われK警察署に出頭したのだろう。車から下り建物に向かって歩いていた三人めがけて猛スピードで車が突っ込んできた。 緊急搬送された病院でまなみ先生は死亡が確認され、義之さんと弁護士さんは意識不明の重体。 運転していた男は別の車に乗り換えて逃走。 防犯カメラの映像から男は数ヵ月前に同署を懲戒免職になった久保木元巡査長だと判明した。

ともだちにシェアしよう!