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たもくんの決意

火葬が終わり収骨室には入りきれないくらい大勢のひとが集まった。 彼とコオお兄ちゃんが率先して誘導をしてくれたから、大きな混乱もなくスムーズに骨を拾い骨壺に納めることが出来た。 僕はみんなの邪魔にならないように廊下の端っこにいたけど、たもくんにが呼びに来てくれて。長い箸を渡された。 「最後の骨は四季に納めてほしい。まなみ先生もそれを望んでいる」 彼とコオお兄ちゃんに介助してもらい、参列者みんなに手伝ってもらい、火傷をしないように注意しながら、骨壺に白くて丸い骨を一番上にそっと静かに乗せた。 「まなみ先生、骨になっちゃったね。初瀬川さんのお兄さんと再婚して第二の人生を歩むはずだったのに……なんで、こんなことに……」 泣かないで笑顔で見送ろうと思ったのに。 車椅子に座るなり、涙が堰を切ったかのように次から次に溢れだした。 「元はといえば園長が悪いんだ。悔しいのは四季だけじゃない。俺たちだって悔しい」 「まなみ先生はむしろ被害者だ」 「まなみ先生の花嫁姿を見たかったのは私たちも同じよ」 先輩たちに慰められ、ようやく落ち着きを取り戻した僕に、 「四季、遺影を頼む」 たもくんにまなみ先生の遺影を渡された。係の方から白い風呂敷で包まれた骨壺を渡されたたもくん。何かを決意したかのように前を真っ直ぐに見つめた。

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