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はじめての家族旅行
記者からの質問を受けるたもくんは背筋を伸ばし堂々と受け答えしていた。テーブルの上には、まなみ先生が大事にしまっていたたもくんと奏心さんが写った写真が並べてあった。笑顔で写る小学校の入学式の写真。まさかこの一ヶ月後に奏心さんが突然いなくなるとは誰も予想していなかったと思う。
阿部さんと、不起訴処分になり釈放された武田課長、それに先輩たちがたもくんの脇を固めていた。
「岩水くんばかり見てたら、和真に焼きもちを妬かれても知らないよ」
指で頬っぺをつんつんされ、ドキリとして上を見上げると結お姉さんがニヤニヤと笑っていた。
「たもくんばかり見てないよ」
「本当にそうかな?」
疑いの眼差しを向けられ、どう言葉を返していいか戸惑っていると、
「結、四季くんを困らせないんだよ」
櫂さんが助け船を出してくれた。
「だって四季くんが可愛いから、構いたくなっちゃうんだもの」
結お姉さんがリモコンでテレビの電源をオフにしてくれた。
「それは分かるけど……そんなことより和真と副島を待たせると悪いからそろそろ出発しようか」
櫂さんが笑顔で車椅子をゆっくり押してくれた。
当初7月に予定していた旅行を1ヶ月早く前倒しにした。もしかしたら赤ちゃんが予定よりも早く産まれるかも知れない。結お姉さんの体調を最優先に考え彼とコオお兄ちゃんが櫂さんと話し合って決めた。
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