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はじめての家族旅行

自動昇降の機能が付いているから車椅子に座ったままで車内に乗り込むことが出来た。 一人だけ留守番で残ることになった征之おじゃちゃん。寂しくないように、お爺ちゃんとお婆ちゃんがこれから温泉巡りに連れていってくれることになってる。 「じゃあ、私、四季くんの隣」 結お姉さんがお腹を擦りながら乗り込んできた。 「櫂さんに駄々を捏ねられても知らないぞ」 「妹が出来て、はじめての家族旅行なんだよ。あーちゃんが産まれたら、妹と一緒に旅行すること自体難しくなると思う。だから、今日と明日の2日間で思い出をいっぱい作るの。櫂くんの許可はもらってますからご心配なく」 結お姉さんはいつになくテンションが高い。 まだ悪阻が続いていて酷そうなんだ。櫂さんが心配していた。 「もう、やだ。四季くんお願いだから笑って。私は大丈夫よ」 「だってまだ悪阻が続いているって櫂さんが」 「四季くんが傍にいてくれるとね、不思議と気分が良くなるの」 結お姉さんに手を握られにっこりと微笑み掛けられた。彼がハンドルを握り、コオお兄ちゃんが助手席に乗り込むとゆっくりと走り出した。 「和真くんに結がね四季くんとやりたいことリストを提示したんだ。ふたりきりで町をぶらぶら歩きしてショッピングがしたい。お風呂に一緒に入りたい。同じ部屋に泊まりたい。思い出をたくさん作る。和真くんの許可がなかなか下りなくて大変だったんだよ」 「当たり前だ」 前から彼の声が飛んできた。

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