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はじめての家族旅行

「和真はいいじゃん新婚旅行で四季くんとイチャイチャ出来るんだもの。少しくらい姉に貸してもバチは当たらないと思うよ」 結お姉さんも負けじと言い返した。 はじめて聞くことばかりで目をぱちぱちしていたら、 「2部屋借りたの。洋室は私と四季くん。和室は櫂くんと和真と副島に分かれて泊まることにしたの。和真は最後まで渋い表情を浮かべていたけど、こんな機会滅多にないし。お風呂は大浴場の他にも予約制の家族風呂があるし、料理も食べきれないくらい豪華だし、楽しみだよね」 だからかなんだ。昨夜から彼の機嫌が悪かったのは。コオお兄ちゃんとふたりしてイライラしていたのは。 「知らないうちに四季くんと岩水くんが一緒に写った写真が個人情報とともにネットに公開されていて、拡散されていたんだよ。それだけだったらまだしも、四季くんの性的マイノリティに対して心無い誹謗中傷がすごくてね。だから、ふたりはいらいらしているんだよ」 櫂さんがそっと教えてくれた。 「吉村が公開した人間を探しているわ。めちゃめちゃ殺気立ってて、近寄れないオーラが体中からめらめらと出てて、怖いったらありゃしない」 「吉村くんも斎藤くんも、なんだかんだいいながらも四季くんが可愛くて仕方がないんだ。しょうがないよ」 櫂さんがぷぷっと思い出し笑いをした。 そうこうしているうち広くて大きな湖が見えてきた。 「猪苗代湖よ。あーちゃんが大きくなったら遊びに来よう。ね、四季くん」 「湖水浴にキャンプ、楽しいと思うよ」 「はい」 結お姉さんと指切りげんまんしていたら、いつの間にか高速を下り道の駅に到着していた。休日とあって、駐車場はかなり混雑していた。 身障者用の駐車場に先に駐車してある車があって、路肩に停車し、しばらく待つことにした。

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