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はじめての家族旅行

「櫂くん、じろじろ見たら失礼よ」 「だってどんなコーヒー豆を使っているか、どうやって焙煎しているか気になるんだ」 カウンター席に座るなり厨房を熱心に観察する櫂さんを、結お姉さんがクスクスと笑って見ていた。 「四季くん。半分こして食べよう。お昼食べれなくなっちゃうから」 「はい」 結お姉さんが皿に取り分けてくれた。 「豆腐とお餅?」 はじめて見る食べ物に驚いていたら、 「豆腐もちだって。さっき通ってきた猪苗代湖周辺に伝わる郷土料理みたい。素朴な味が好評みたい。ほうじ茶でいい?」 「はい」頷くと、彼がカウンターから湯呑み茶碗をとってくれた。 「昼はお蕎麦だって。楽しみだよね。あれ、何時に予約したの?」 「団体客がいるから、1時過ぎの方がゆっくり出来ると言われて一時半に予約を入れた。それより甘すぎないか、これ」 コオお兄ちゃんがほうじ茶ラテに苦戦しているようだった。 「そうか?美味しいぞ」 「和真の方は抹茶ラテだろう。俺もそっちにすれば良かった」 「一口、飲んでみるか?」 「いいのか?じゃあ、俺のも飲んでいいよ」 マグカップを交換し、飲み比べするふたり。 なんだかんだいいながら、ふたりは仲がいい。まるで本当の兄弟みたいだ。

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