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はじめての家族旅行
「そこのふたり。あんまりイチャイチャしないの。四季くんに焼きもち妬かれても知らないよ」
「イチャイチャしてないから」
彼とコオお兄ちゃんの声が見事にハモった。
「誰が見てもそう見えるんだけど。まぁ、いっか。食べよう四季くん」
結お姉さんに促され、豆腐もちを一口大に箸で切り、口にそっと運んだ。結お姉さんが言った通りだ。素朴で懐かしい味がする。美味しい。
カタン、ドアが開いてお客さんが入ってきた。
「お餅のアイスあるかな?」
「こはるちゃん、すき」
「ママも大好き」
聞き覚えのある声にどきっとした。
まさかとは思いながらドアの方を振り返った。
「あっ……」
女性が小さく声を上げたのが分かった。
彼やコオお兄ちゃん、結お姉さんや櫂さんもすぐに女性の存在に気付いた。
男性は車で待っているのか店には姿を現さなかった。
女性は店員にお餅のアイスを予約していた者ですがと声を掛け、商品を受け取るとそそくさと何事もなかったように出て行こうとしたけど、くるっと体の向きを変えると僕と結お姉さんのとこに真っ直ぐ向かってきた。
彼とコオお兄ちゃんが椅子から立ち上がり、僕たちの前にすっと立ってくれた。
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