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はじめての家族旅行

「私の妻と姉にどういったご用件ですか?」 彼が女性を睨み付けた。 「え?」 女性が驚いたように僕の顔を二度、三度と見てから、結お姉さんの顔を見た。 「あたちこはるちゃん。おねえしゃん、あかちゃんいるの?」 保育園に通園しているのかな?人見知りもせず、ニコニコと笑いながら女の子が結お姉さんに自分から話し掛けてくれた。 「こはるちゃんはいくつ?」 「にしゃい」 もじもじと照れながらもVサインを見せてくれた。 「そっか」 結お姉さんが女の子をじっと見下ろした。 「ママにもあかちゃんいるんだよ。こはるちゃん、おねえしゃんになるんだよ」 「こはる、余計なことを喋っちゃだめ」 女性が女の子を注意した。その直後、スマホが鳴って、女性が電話に出ると、いつまで掛かっているんだ。苛立った男の人の声が漏れ聞こえてきた。 「みんないる大丈夫だ」 櫂さんがガタガタと震える結お姉さんの手をテーブルの下でそっと握った。 「結お姉さん僕もいる」 もう片方の手をそっと握った。 「レジが混んでて。すぐ戻るから、ごめんね」 電話を切ると、手に握り締めていたレシートの裏に何かを走り書きし、彼に渡し、女の子の手を握りそそくさとお店をあとにした。

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