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はじめての家族旅行

コオお兄ちゃんが目を閉じリラックスした様子で僕の太股を枕代わりにして横になっていた。 「猫舌でしょう。熱いお風呂が苦手でしょう。三分と待てない性格だから病院が大嫌いでしょう。あとね……」 指で数えながらアイスを頬張る結お姉さん。 にっこり笑い楽しそうだった。 コオお兄ちゃんは寝たフリを決め込んでいたみたいだったけど、たまにしかめっ面をしていた。 「シスコンだと婚期を逃すわよ~~」 「おおきなお世話だ」 「いい加減告ったら?」 「それもおおきなお世話だ」 「何で、何で。心配されるうちが花なんだよ~~」 しばらくすると結お姉さんがコオお兄ちゃんをからかいはじめた。 「あのね、四季くん。こう見えても副島モテモテなんだよ。三角関係真っ只中なんだよ」 「結、ちょっと待った」 コオお兄ちゃんが慌てて飛び起きた。 「だってそうじゃん。待ってても振り向いてくれない本命の子より、好きだって告ってくれた子を大事にしてあげなきゃ」 「だからそれは……」 コオお兄ちゃんが急に黙り込んでしまった。 「お待たせ」 ちょうどその時彼と櫂さんが大浴場から戻ってきた。

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