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初めての家族旅行

「和真も副島も母親がいなかったから妙に馬があったみたい。副島は昔から兄貴肌で同級生や先輩や後輩から頼りにされ好かれていたの。今も昔も和真の面倒をみてくれる優しいお兄ちゃんなのよ」 「もしかして昴さん、中学校のときからコオお兄ちゃんのこと好きだったとか。そんなのあり得ないか」 当てずっぽうで言ったつもりだったけど。 「よく分かったね。でも副島には本命がいたから。一度は諦めた。でも、四季くんが現れて、副島を取られると思ったんでしょう。だから告白したみたいだよ。昴、高所恐怖症なのに、副島が側にいるからかな、怖がってない。愛のちからかな?」 結お姉さんが上を見上げくすくすと笑い出した。 「あの、数字の謎が解けたって、さっき……」 「斎藤と吉村が動いてくれている。任せておいて大丈夫」 結お姉さんの説明だと、彼のお兄さんは風俗店を経営していて、おそらく18歳以下の女の子を未成年だと知った上で違法に働かせているんじゃないかってことだった。 「さっきの人、その子たちを助けてもらいたくて一か八か賭けに出たんじゃないのかな?」 「これから結婚式だろう?ドタキャンしたら招待してくれた高瀬に失礼だぞ」 なかなか車に戻ろうとしない昴さんに痺れを切らしたコオお兄ちゃんが声を掛けた。 「それは分かってる。分かってるけど僕だけのけ者扱いにされているようで嫌なんだ」 「じゃあ聞くが、いつ俺がお前をのけ者扱いにしたんだ?」 「だって兄さんばっかり、和真さんばっかり、紘さんばっかり、四季ばっかりで、僕のことはいつも後回し。一番最後じゃん」 眉をきゅうっとひそめた。

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