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初めましての家族旅行
案内された部屋は、大きさの違うベットがふたつ並んでいて、浴室も広めで浴用の椅子とバスタブには手すりがついていた。
「どうした?」
「僕には勿体ないよ。こんな豪華な部屋に泊まるなんて。和室で充分。櫂さんと交換する。まだ、間に合うでしょう」
彼が驚いたような表情を見せた。
「この旅行は、修学旅行に行きたくても行けなかった四季くんへ私たちからのプレゼントなんだよ」
「結の言う通りだ。朝まで飲みあかす予定だし、あと、枕投げする予定だから、四季くんは先に寝た方がいいと思うよ。昴くんに捕まったら寝させてもらえないよ」
結お姉さんと櫂さんがにこにこと笑っていた。
「飲みあかすといっても、ジュースとノンアルコールビールでだけど。昴は結婚式が終わったらここに泊りに来る。副島が来るなって言っても聞く耳を持ちやしない」
「そのくらい副島が大好きで、誰も近寄って欲しくないんだと思うよ」
「だからといって四季や結にまで焼きもちを妬かなくていいのに」
頭の痛い悩み事がまたひとつ増えて、彼と櫂さんはため息ばかりついていた。
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