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初めての家族旅行

朝食はバイキング。 こづゆとか喜多方ラーメンとかご当地グルメも楽しめる豊富なメニューがテーブルの上に所狭しと並んであった。 目玉は地元の養蜂家が作った蜂蜜をたっぷり使った厚切りトースト。 「飲み物を先に置いてくるから待ってて」 彼が戻ってくるまで、トレイを膝の上に乗せ、何を食べるか考えていたら、 「届かないなら取ってやる」 昴さんがふらっと現れて。 「ほら、寄越せ」 トレイを代わりに持ってくれた。 「ありがとう昴さん」 お礼を言うとぷいっと顔を逸らされてしまった。 「昨日はごめん。悪かった。四季、ウィンナーとスクランブルエッグ、あと何食べる?」 「喜多方ラーメン食べたいけど、少しでいいです。残すと勿体ないから」 「じゃあ、僕と半分しよう」 昴さんの表情は昨日と打って変わって明るく、晴れ晴れとしていた。 「昴さん、コオお兄ちゃんのこと宜しくお願いします」 「副島さんが一番好きなのは兄でなく、きみだよ。兄は2番目。和真さんも2番目。シスコンなのはまぁ、仕方ないから、そこはおおめに見ることにした。四季、これから仲良くしてくれる?」 「もちろんです」 「良かった」 昴さんが胸を撫で下ろした。

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