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初めての家族旅行

「副島とまさか同じ布団で一緒に寝るとは思わなかった」 「え?」 「昴みたいなのをツンデレっていうんだろう。好きな男と同じ布団で寝れる千載一遇のチャンスだというのに。頑なに嫌だって拒んだんだ」 「あの和真さん、枕投げは?」 「したよ。それに深夜二時過ぎまで話し込んでいたんだが、睡魔にはどうしても勝てなかった」 欠伸をしながら苦笑いを浮かべる彼。 「毎日四季を湯タンポ代わりにして寝ているんだ。たまには武骨な男も悪くないだろう」 コオお兄ちゃんが四人掛けの空いている席に、昴さんと並んで一緒に腰を下ろした。 結お姉さんと櫂さんは窓側の席に座り、談笑しながら朝御飯を食べていた。椅子よりソファーの方がお腹を圧迫しないし、座るのに楽だってそんなことを話していた。 「四季にあのことを言わなくていいのか?」 ラーメンを啜りながら昴さんが何気に彼とコオお兄ちゃんに聞いた。 「きよちゃんだっけ?いまだに行方不明なんだろう?」 「あぁ。そうだ」 「四季に余計な心配を掛けたくないのは分かる。でも、彼らはきよちゃんよりもっと危険 な存在だよ。兄も話していたけど、彼らときよちゃんの利害関係が一致し、手を組むことだって充分あり得るんだよ。ふたりともそれを分かってる?」 箸を持ち上げたまま、昴さんが心配そうな眼差しで彼とコオお兄ちゃんをじっと見つめた。

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