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初めての家族旅行

「お爺ちゃんのところと阿部法律事務所に脅迫状が届いた」 そう言って彼がある写真を見せてくれた。 【嫌がってるわりには濡れていたじゃないか。随分と気持ち良さそうだったじゃないか。合意の上だったのにチクりやがって。無事に出産を迎えられると思うなよ。腹を切り裂いて、ぶっ殺してやる。覚悟しておけ】 あまりにも衝撃的な内容に絶句し言葉を失った。 「血文字で書かれてある。悪趣味な連中だ。蛇より執念深い」 コオお兄ちゃんがあーちゃんの話しで盛り上がる結お姉さんを心配そうに見つめた。 昴さんも逆恨みにもほどがある。理不尽な世の中だ。語気を強めた。 「足手まといだけど、なにも出来ないけど、結お姉さんとあーちゃんと櫂さんを守りたい」 「それはみんな同じだ。お爺ちゃんと阿部さんが姉さんと櫂さんを匿ってくれそうなひとに心当たりがあるみたいだ」 「和真さん、相手はヤクザだよ。普通の人じゃないんだよ」 すがりつくように袖を掴むと、 「暴力団は決して必要悪じゃない。中には曲がったことが大嫌いで義理人情に熱く、涙もろい人間味溢れるヤクザもいるんだ。ひとを見た目で判断するな。大事なのは心だ。お爺ちゃんがよく言ってた」 不安な気持ち一掃させるかのようにニコッと優しく微笑んでくれた。

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