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はじめての家族旅行
「父親なら罪を犯した息子に、被害者にちゃんと謝って罪を償えというのが普通だろう。父は逃走資金をあの人に渡して逃がしたんだよ。自分の保身のためにね」
朝食後、結お姉さんは櫂さんと和室に向かい、副島さんはこれから友だちと会う約束がある昴さんを見送りに駐車場へ向かった。
チェックアウトの10時ギリギリまで寝させてほしいと彼に頼まれ部屋に一緒に戻った。ひとりでは寝れないと言われ、隣に横になり、彼ととりとめのないいろんな話しをしていた。
「数百万という逃走資金を元手に事業で成功し若い女性を妻に迎え子供にも恵まれ幸せな生活を手にしたあの人に比べ、他の三人は親から見捨てられ、逃走資金も雀の涙しかもらえず、指名手配犯として警察に追われ、想像を絶する荒んだ生活を送ってきたと思うよ。やり返すならあの人や父に直接やればいいのに。全く関係のない姉さんをなんで巻き込む必要があるんだ」
悔しさと腹立たしさを滲ませ唇を噛み締めた。
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