「明日花の交遊関係を警察は掴んでいる。にも関わらず和真くんを犯人扱いするのは、和真くんが犯人だと匿名のたれ込みがあったからみたいだよ。マスコミにも同じようなたれ込みがあったけど、そもそも和真くんたちは会津若松と喜多方に旅行中だったからね、明日花を連れ去ることは不可能。調べればすぐ分かるのに」 「征之さん、それは？」 「あ、これ？明日花の交際相手と、よく一緒に遊んでいた友だちだよ」 「男の子ばかりですね。同性の友だちはいなかったのかな？」 「相手によって態度も言葉づかいもガラリと変わるみたいだよ。ぶりっ子で、男子生徒には媚を売るから、同性には相当嫌われていたみたいだよ。あ、でも、男子生徒にはモテモテだったみたいだよ」 「父さんこの写真もらってもいい？」 「あぁ」 コオお兄ちゃんが征之おじいちゃんのスマホを操作し、彼と自分の端末に写真を転送した。 「彼女もきよちゃんと同じで寂しかったのかも知れない。お金持ちのお嬢様だもの。お金目当てで彼女に優しくする人や、下心を持って近付いてくる人だってたくさんいたと思う。自分を心から愛してくれるひとをずっと探していたのかも知れない」 「世の中いい大人ばかりだとは限らない。悪い大人だっている。世間知らずの箱入り娘だ。騙すのも簡単だろう」 彼が寂しそうに転送されてきた写真に目を落とした。